※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
モーリス
(Maurice)
作品データ
1987年|イギリス|恋愛/文芸
監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:ジェームズ・ウィルビー、ヒュー・グラント、ルパート・グレイヴス ほか
気持ちに名前をつけられない青年が、時代と自分に挟まれる話
20世紀初頭のイギリス。裕福な家庭に育ったモーリスは、ケンブリッジ大学でクライヴという青年と出会い、強い結びつきを感じるようになる。ただ、その感情は当時の社会では表に出せるものではなく、二人はどこか線を引いた関係を続ける。やがてクライヴは「普通の人生」を選び、モーリスは一人取り残される形になる。その後、森番の青年アレックと出会ったことで、モーリスは初めて自分の感情を否定せずに向き合う道を考え始める。
真面目で不器用、でも感情は強め
モーリスは生真面目で、社会のルールを疑わずに育ってきたタイプ。
クライヴは知的で洗練されていて、感情よりも理屈や立場を優先しがち。
アレックは労働者階級で、感情表現が素直。モーリスにとっては、今まで出会ったことのない存在として映る。
大学と屋敷、閉じた世界が続く
前半は大学や上流階級の集まりが中心で、会話も空気もどこか抑え気味。
人目を気にする場面が多く、感情はあっても外に出せない状況が続く。
建物や室内の落ち着いた雰囲気が、その息苦しさを強めている感じがある。
抑え込むほど、苦しくなっていく
クライヴが別の人生を選んだあと、モーリスは自分を変えようとする。
医者に相談したり、気持ちを消そうとしたりするけど、うまくいかない。
その過程で、自分が何を恐れているのか、何を失いたくないのかが少しずつ見えてくる。
森の中で見つかる、別の選択肢
アレックとの関係は、秘密ではあるけど、嘘ではない感覚をモーリスに与える。
身分や立場の違い、不安定な将来ははっきり存在している。
それでも、自分の感情を否定し続ける生き方より、別の道を選ぶ可能性が示されていく。
この映画のポイントなに?
派手な展開は少なめで、視線や沈黙の時間が多い構成。
恋愛というより、「自分をどう扱うか」というテーマがずっと流れている。
当時の社会背景が、個人の感情にどれだけ影響していたかが、静かに伝わってくる。
たぶんこんな映画
感情を爆発させるタイプではなく、内側で積もっていく感じ。
観ているうちに、モーリスが何を選ぼうとしているのかを一緒に考える時間が増えていく。
静かな余韻が残って、しばらく頭の中に景色が残りやすい一本、そんな印象になりやすい作品。

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