※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
アタメ
(原題:¡Átame!/英題:Tie Me Up! Tie Me Down!)
作品データ
1990年|スペイン|ロマンス/ドラマ
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・バンデラス、ビクトリア・アブリル、ロロ・エレーロ ほか
縛って始まる恋が、なぜか転がっていく話
出会いが最悪で、やり方も強引。
それなのに、なぜか関係が続いて、形が変わっていく。
この映画は、常識的な恋のスタートを完全に外したところから、感情がどう動いていくかを追っていく感じ。
捕まえて一緒に暮らすところから始まる
精神病院を出たリッキーは、昔関係を持った女優マリーナのもとを訪れる。
彼は結婚するつもりでいて、そのために彼女を家に縛りつけてしまう。
逃げようとするマリーナと、真っ直ぐすぎる愛情を向けるリッキー。
奇妙な共同生活の中で、拒絶と理解が少しずつ混ざっていく。
真っ直ぐすぎる男と、翻弄される女優
リッキーは目的がはっきりしていて、愛情表現も一直線。
善悪よりも「こうしたい」が先に立つタイプで、迷いがほとんど見えない。
マリーナは過去や不安を抱えながら仕事をしている女優で、最初は完全に被害者側。
ただ、時間が経つにつれて感情が単純に整理できなくなっていく。
マドリードの部屋で、不思議な日常が続く
物語の多くは、マリーナの家の中で進んでいく。
外の世界と切り離された空間で、食事をして、会話をして、世話をする。
時間の感覚も曖昧で、非日常が日常みたいに重なっていく。
閉じた場所だからこそ、感情の変化が細かく見えてくる。
拘束から依存、そして関係の変質
最初は恐怖と反発しかなかった関係が、少しずつズレていく。
リッキーの世話焼きな一面や不器用さが見えてきて、マリーナの態度も変わる。
それが理解なのか、慣れなのか、別の何かなのかははっきりしない。
ただ、二人の間に別の種類の結びつきが生まれていく。
縛りがほどけたあとに残るもの
終盤では、物理的な拘束は解かれていく。
その代わりに、感情のつながりがどう扱われるのかが問われる。
マリーナは自分の選択としてリッキーを見るようになり、物語は一区切りを迎える。
納得というより、受け止めに近い終わり方が用意されている。
この映画のポイントなに?
強烈な設定なのに、トーンはどこか柔らかい。
愛情の形が一つじゃないことを、極端な状況で見せてくる。
色使いや音楽も相まって、重くなりきらず感情が揺れる。
アントニオ・バンデラスの若さと危うさも印象に残りやすい。
たぶんこんな映画
安心して観るタイプというより、感情の居場所を探す感じ。
理解できるかどうかより、どう感じるかが前に出てくる。
観終わったあと、愛とか選択について少し考えが止まらなくなる、そんな余韻が残りやすい一本。

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