※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
欲望の法則
(原題:La Ley del deseo/英題:Law of Desire)
作品データ
1987年|スペイン|ロマンス/ドラマ
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:エウセビオ・ポンセラ、アントニオ・バンデラス、カルメン・マウラ ほか
欲望が一直線に暴走して、愛と破滅が交差する話
誰かを好きになる気持ちが、まっすぐすぎるとどうなるのか。
この映画は、その「まっすぐさ」がブレーキを失っていく様子を、かなり生々しく追いかけていく感じ。
恋、執着、創作、嫉妬、全部が同じ熱量で絡まり合って進んでいく。
愛されたくて、愛して、壊れていく
映画監督のパブロは、自由な恋愛を続けながら創作に没頭している。
そんな彼に強烈に惹かれる若い男アントニオが現れて、関係は一気に深く、そして危うくなっていく。
一方で、パブロの過去や家族の存在も浮かび上がってきて、欲望の向かう先が少しずつズレ始める。
好きという感情が人を前に進める一方で、取り返しのつかない方向にも連れていく流れが続いていく。
自由に生きる男と、全部を捧げる男
パブロは、恋愛も創作も「縛られない」ことを大事にしている人。
一方のアントニオは、愛する相手に全てを注ぎ込みたいタイプで、その温度差が最初から見えている。
そこにパブロの妹ティナが関わってきて、家族としての愛や過去の傷も物語に重なっていく。
それぞれの欲望が微妙に噛み合わないまま、物語が進んでいく感じ。
1980年代マドリード、愛と表現が混ざる場所
舞台は1980年代のマドリード。
街の空気そのものが開放的で、恋愛や性、自己表現が当たり前のように混ざり合っている。
パブロの仕事場、夜の街、私的な空間が次々とつながって、日常と欲望の境目が曖昧になっていく。
時間も場所も、感情の流れに引っ張られて動いている印象。
執着が膨らんで、取り返しがつかなくなる
アントニオの気持ちは、愛から執着へ、執着から行動へと変わっていく。
それは本人にとっては自然な流れでも、周囲から見ると危うさが増していく。
パブロは距離を取ろうとするけれど、その曖昧さがさらに事態をこじらせてしまう。
欲望が欲望を呼んで、選択肢がどんどん狭まっていく感覚が続く。
欲望の行き着く先で、残るもの
物語の終盤では、それぞれの欲望がはっきりとした結果を迎える。
愛し方の違いが、どういう形で人を傷つけるのかが露わになる。
誰かが何かを失い、誰かは生き残って前に進こうとする。
完全な救いというより、現実として受け止めるしかない終わり方が用意されている。
この映画のポイントなに?
欲望を「良い」「悪い」で整理しないところが特徴的。
愛する気持ちも、求めすぎる気持ちも、どちらも人間らしいものとして描かれている。
色彩や音楽、セリフの強さも相まって、感情そのものが画面から溢れてくる。
若きアントニオ・バンデラスの存在感も、かなり印象に残る。
たぶんこんな映画
静かに噛みしめるというより、感情に巻き込まれていくタイプの一本。
恋愛映画とも言えるし、人間の欲望そのものを覗き込む話とも取れる。
観終わったあと、誰かの愛し方や自分の感情を少し考えたくなる、そんな余韻が残りやすい作品。

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