サン・セバスチャンへ、ようこそ

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サン・セバスチャンへ、ようこそ
(Rifkin’s Festival)

作品データ
2020年|スペイン・アメリカ|ロマンス・コメディ
監督:ウディ・アレン
出演:ウォーレス・ショーン、エレナ・アナヤ、ルイ・ガレル、ジーナ・ガーション、クリストフ・ヴァルツ ほか

映画祭の街で、人生と映画を同時にこじらせる話

映画祭が開催されているサン・セバスチャンに、映画好きで神経質なモートと、その妻がやって来る。妻は仕事と人付き合いを楽しむ一方、モートは街に溶け込めず、不安や嫉妬、自己嫌悪を膨らませていく。映画祭の華やかな雰囲気の中で、モートは医師と出会い、会話を重ねながら自分の人生や結婚、そして映画そのものについて考え始める。現実と妄想、過去の名作映画のイメージが入り混じり、頭の中はどんどん騒がしくなっていく。

モート、考えすぎて動けない人

モートは映画理論に詳しく、昔の名作映画を基準に物事を考えるタイプ。ただ、その知識が行動力にはつながっていない。妻の行動一つひとつに過剰に反応し、自分の価値を疑い続けている。頭の中では饒舌なのに、現実では後手に回りがちな感じがずっと続く。

映画祭の街サン・セバスチャン

舞台は海沿いの美しい街サン・セバスチャン。映画祭の会場、ホテル、街角のカフェなどが軽やかに切り替わっていく。現実の街並みに加えて、モートの妄想の中ではクラシック映画風の世界が突然始まることもあり、場所の感覚が少し曖昧になっていく。

妻と映画人たちに振り回される

妻は若い映画監督や業界人と交流を深め、楽しそうに過ごしている。その様子が、モートの不安をどんどん刺激する。一方で、医師や映画関係者との会話では、モートの知的好奇心が刺激され、少しだけ心が軽くなる瞬間もある。安心と不安が交互に押し寄せてくる流れ。

現実と妄想が混ざり始める

モートの頭の中では、名作映画のワンシーンをなぞるような妄想が展開される。白黒映画風の演出や、過去の巨匠たちの影がちらつき、現実逃避なのか自己分析なのか分からなくなっていく。映画を愛してきた人生そのものが、ここで試されているようにも見える。

少しだけ視点が変わる終盤

物語の終わりに向かって、モートは自分の不安や劣等感と向き合う時間を持つ。すべてが解決するわけではないが、考え続けること自体を受け入れ始める様子が見えてくる。映画祭の喧騒の中で、静かな変化が起こる。

この映画のポイントっぽいところ

映画愛そのものを題材にしつつ、年齢や才能、成功への焦りを軽やかに扱っている。現実の物語と、映画オマージュ的な妄想シーンが交互に出てくる構成も特徴的。ウディ・アレン作品らしい会話のテンポが全体を引っ張っていく。

たぶんこんな映画

派手なドラマというより、頭の中の独り言をそのまま映像にしたような一本。映画が好きで、つい比較して落ち込んでしまうタイプには刺さりやすい。観終わったあと、好きな映画と自分の人生を、ちょっと距離を置いて見直したくなる感じがする。

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