※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

リスボンに誘われて
(Night Train to Lisbon)
作品データ
2013年|スイス・ドイツ・ポルトガル ほか|ヒューマンドラマ
監督:ビレ・アウグスト
出演:ジェレミー・アイアンズ、メラニー・ロラン、ブルーノ・ガンツ ほか
規則正しく生きてきた男が、一冊の本に人生を連れて行かれる話
スイスで教師として静かな生活を送っていた男ライムントは、ある日、偶然助けた女性をきっかけに、ポルトガルの作家が書いた一冊の本と出会う。その文章に強く惹かれた彼は、衝動的に夜行列車に乗り、リスボンへ向かう。そこで本の著者の人生を辿りながら、独裁政権下の過去と、多くの人の選択が交差していた事実に触れていく流れ。
きっちり先生ライムント、突然の脱線
ライムントは時間も規則もきっちり守るタイプで、感情を大きく表に出さない人物っぽい。そんな彼が、本の一節に心を掴まれ、仕事も予定も放り出して旅に出る。その行動自体が、彼にとってはかなり異例で、人生のレールから外れる最初の一歩みたいな感じになっている。
現在のリスボンと、過去のポルトガル
リスボンでは、ライムントの現在の旅と、本の著者アマデウの若き日の記憶が交互に描かれていく。舞台は独裁政権下のポルトガルで、医師だったアマデウと、その仲間たちが政治や抵抗運動と関わっていく様子が浮かび上がる。時代も場所も違う二つの時間が、文章を通じて重なっていく。
一冊の本が、人の人生を次々につなげる
ライムントは、著者を知る人々を訪ね歩き、断片的な証言を集めていく。そのたびに、友情、裏切り、恋、恐れといった感情が見えてくる。過去の選択が誰かの人生をどう変えたのかが少しずつ明らかになり、読む側だけでなく、旅をしている彼自身の考え方にも影響を与えていく。
誰かの人生を辿ることで、自分の立ち位置が揺らぐ
調べが進むほど、ライムントは自分がこれまで安全な場所に留まり続けてきたことを意識し始める。他人の勇気や後悔に触れることで、自分の選択が本当に自分の意思だったのか、問い直すようになる。終盤では、過去の物語が一つの形を持ち、彼自身の今後にも静かな変化が示される。
この映画のポイントなに?
旅映画でありながら、目的地よりも「考える時間」に重きが置かれているところ。派手な展開より、本の言葉や会話を通して、人生や選択について考えさせる構成になっている。過去と現在が丁寧に編まれていく感じが特徴っぽい。
たぶんこんな映画
一気に盛り上がるタイプではなく、ゆっくり歩きながら考え事をする感覚に近い作品。観終わったあと、自分が今いる場所や、選ばなかった道について、少し立ち止まって考えたくなる。夜行列車の音みたいに、静かに余韻が続いていくかもしれない。

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