※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
白昼の幻想
(The Trip)
作品データ
1967年|アメリカ|ドラマ
監督:ロジャー・コーマン
脚本:ジャック・ニコルソン
出演:ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、ブルース・ダーン ほか
仕事と結婚に行き詰まった男が頭の中へ逃げ込む話
CMディレクターとして最先端を走り続ける男ポールが、仕事のプレッシャーと結婚生活の破綻に追い詰められ、LSDによるトリップを体験する。外の世界ではほとんど何も起きないのに、内側では感情も記憶も恐怖も全部が暴走し、現実よりも濃い時間が流れていく。
登場人物
・ポール
CMディレクター。創造性を求められ続ける仕事と私生活の行き詰まりに疲れ切っている。
・サリー
ポールの妻。離婚を望み、夫婦関係はすでに限界に近い。
・友人たち
ポールをトリップ体験へ導く存在。助言者でもあり、観測者でもある。
成功しているのに満たされない日常
ポールは広告業界の最前線で働いているが、常に新しいアイディアを求められ、精神的に追い込まれている。
家庭でも安らぎはなく、妻サリーは離婚を切り出し、生活は静かに崩れていく。外から見れば順調でも、本人の中はすでに限界寸前だ。
LSDという選択肢
問題を解決するため、ポールは「幻覚の世界に遊べる」とされるLSDを試す決断をする。
これは逃避でもあり、救いを探す行為でもある。準備を整え、部屋に閉じこもり、意識は少しずつ現実から離れていく。
頭の中で始まる旅
トリップが始まると、映像は断片化し、色や音、感情が過剰に膨張する。
過去の記憶、不安、性的な衝動、恐怖が入り混じり、時間感覚は崩壊する。ここではストーリーよりも体験そのものが前面に出て、観ている側もポールの頭の中に引きずり込まれる。
戻ってきたあとに残るもの
幻覚のピークを越え、ポールは現実へ戻ってくる。
世界は何も変わっていないが、彼自身の感覚だけが微妙にズレている。トリップが答えだったのか、ただの通過点だったのかは、はっきりとは示されない。
この映画のポイント
・LSD体験をそのまま映像化しようとする構成
・物語より感覚と心理が優先されている
・60年代カウンターカルチャーの空気が濃い
・現実逃避と自己探求が同時に描かれている
たぶんこんな映画
何かを理解するというより、ただ一緒に揺さぶられる感じ。
筋を追うと肩透かしになるけど、雰囲気に身を預けると妙に生々しい。
60年代の不安と欲望が、そのまま頭の中に流れ込んでくるような一本。

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