奴らを高く吊るせ!

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奴らを高く吊るせ!
(Hang ’Em High)

作品データ
1968年|アメリカ|西部劇
監督:テッド・ポスト
出演:クリント・イーストウッド ほか

私刑で殺されかけた男が法の側に立って復讐する話

無実の罪で首を吊られ、奇跡的に生き延びた男ジェド・クーパーが、私刑を行った連中を合法的に裁くため、連邦保安官になる。撃ち合いよりも逮捕と裁判を優先しながら、それでも復讐の炎は消えず、法と感情の間で揺れ続ける西部劇。

登場人物

・ジェド・クーパー
元保安官のカウボーイ。誤認で私刑にかけられ、死にかけた過去を持つ。

・フェントン判事
フォート・グラントの判事。法を絶対とし、治安維持のために冷酷な判断も辞さない。

・ウィルソン
クーパーを吊るした男たちの中心人物。私刑を正義だと信じている。

・レイチェル
日用品店を営む女性。拘置所で囚人の面通しを続けている。

・カルフーン
現地の保安官。クーパーとは法の運用について意見が食い違う。

牛泥棒の濡れ衣から始まる地獄

牛を運んでいたクーパーは、盗品と知らずに買った牛のせいで、突然9人の男に囲まれる。
弁明は聞き入れられず、即席の裁きで首を吊られ、男たちはそのまま去っていく。瀕死の状態で残されたクーパーは、連邦保安官ブリスに救われる。

法の側に立つという選択

冤罪を認められたクーパーは、復讐を望むが、フェントン判事から「私刑ではなく法で裁け」と諭される。
広大で治安の悪いオクラホマ準州を理由に、判事直属の連邦保安官になることを勧められ、クーパーは自分を吊るした男たちを合法的に追う道を選ぶ。

逮捕と私刑のせめぎ合い

罪人を捕らえても、町の人々はすぐ私刑に走ろうとする。
クーパーは銃を向けられれば撃ち返すが、基本は生きたまま連行する姿勢を崩さない。その態度は、正義でもあり、同時に人々の反感も買っていく。

裁判と死刑、残る違和感

捕らえた罪人たちは、見せ物のような公開処刑で次々と死刑にされる。
法に従ったはずなのに、結果として命が奪われていく現実に、クーパーの中で何かが軋み始める。復讐は終わったのか、それとも形を変えただけなのかが分からなくなる。

最後に残るのは法か、個人の決着か

私刑を下した男たちとの因縁は、銃撃と死という形で幕を閉じる。
クーパーは保安官のバッジを返そうとするが、フェントン判事は彼に「法を守る側に立ち続けろ」と迫る。個人の恨みと社会の秩序、その両方を背負う道が示される。

この映画のポイント

・私刑と法の対立を正面から描いている
・復讐劇なのに裁判と逮捕が中心
・イーストウッドの冷静で乾いた主人公像
・西部劇に司法ドラマの要素を持ち込んだ構成

たぶんこんな映画

撃ち合いでスッキリ終わる話ではない。
正義のつもりでやったことが、別の残酷さを生む感覚がずっとつきまとう。
復讐の映画に見えて、実は「法って何だろう」と問い続ける、後味の渋い一本。

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