※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
パブリック 図書館の奇跡
(原題:The Public)
作品データ
2018年|アメリカ|社会派ドラマ
監督:エミリオ・エステベス
出演:エミリオ・エステベス、アレック・ボールドウィン、クリスチャン・スレーター、ジェフリー・ライト ほか
図書館を閉めないと決めた男が、街ごと巻き込む話
大寒波の夜、公共図書館を追い出されれば凍死しかねない人たちが集まってくる。
規則を守れば人が死ぬ、守らなければ自分の仕事が終わる。
その狭間で職員のスチュアートは、図書館に残ることを選ぶ。
善意から始まった判断は、政治、警察、テレビを巻き込み、いつの間にか「事件」と呼ばれる事態へ膨らんでいく。
登場人物
・スチュアート
シンシナティ公共図書館の職員。過去にホームレス体験があり、人命を最優先に考える。
・デイヴィス
検察官。次期市長選を見据え、騒動を自分のイメージアップに利用しようとする。
・アンダーソン
図書館長。予算削減を恐れ、スチュアートを解雇する判断を下す。
・ビル
市警のベテラン刑事。交渉人として現場に呼ばれる。
・図書館に集まったホームレスたち
寒波から逃れるため、図書館に助けを求めてきた人たち。
図書館と「公共」という言葉のズレ
冬のシンシナティ。
スチュアートは、館内で問題行動を起こした男を追い出したことで、逆に人権侵害だと告発される。
検察官デイヴィスは和解金を求め、図書館側に圧力をかける。
スチュアートは抵抗するが、図書館長は予算を守るため、彼を解雇してしまう。
この時点ですでに、「公共」とは何かが食い違い始めている。
大寒波と、行き場を失った人たち
その直後、街に記録的な寒波が襲う。
ホームレスの凍死者が続出する一方、行政が用意したシェルターは明らかに足りない。
約70人のホームレスが、最後の避難先として公共図書館に集まる。
閉館後の滞在は規則違反だが、スチュアートは人命を優先し、彼らと共に館内に残る決断をする。
善意が「立てこもり事件」に変わる瞬間
デイヴィスはこの状況を政治的に利用しようと動き、市警が介入する。
交渉役として現れた刑事ビルとの電話交渉で、スチュアートは自分だけの免責を拒否し、ホームレスたちの新たな居場所を要求する。
デイヴィスの存在に気づいたスチュアートは、思わず彼に過酷な要求を突きつける。
そのやり取りはテレビカメラにさらされ、事態は一気に「危険思想の男による立てこもり事件」として報道されてしまう。
デモとして選ばれた、最後のやり方
扇動的な報道が加速し、警官隊が図書館を包囲する。
平和的に守ろうとしていた場所は、完全に対立の象徴になってしまう。
スチュアートはここで態度を変え、「これはデモだ」と宣言する。
抵抗の意思がないことを示すため、彼らは全裸で歌いながら出入り口を開放し、全員が逮捕されていく。
その姿に、テレビは中継をやめ、騒動は静かに終わる。
この映画のポイント
・規則と人命がぶつかる瞬間
・「公共施設」とは誰のためのものかという問い
・政治とメディアが問題を歪めていく過程
・静かな善意が、社会全体を映す鏡になる構造
たぶんこんな映画
派手なアクションはほとんどないけど、ずっと考えさせられる空気。
正しいことをしたつもりでも、立場が変わると意味がねじれていく。
観終わったあと、図書館とか公共施設の見え方がちょっと変わる、そんな一本。

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