レオポルド・ブルームへの手紙

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。




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レオポルド・ブルームへの手紙



レオポルド・ブルームへの手紙
(原題:Leo)

作品データ
2002年|イギリス・アメリカ|ドラマ
監督:メーラ・ナイル
出演:ジョセフ・ファインズ、エリザベス・シュー、デニス・ホッパー ほか


生まれたこと自体が罪みたいに扱われた少年と、手紙でつながる男の話

1960年代のミシシッピー。ある出来事をきっかけに、母から距離を置かれて育った少年レオ。もう一方では、長い刑期を終えた男スティーヴンが、獄中で文通していた少年と会う日を待っている。血のつながりじゃなく、言葉だけでつながった二人の人生が、静かに交差していく。

登場人物

・メアリー
 家庭に閉じ込められたような息苦しさを抱える母親。過去の出来事から抜け出せずにいる。

・レオポルド(レオ)
 母の秘密と罪を背負わされたように育つ少年。読書と手紙を書くことが救い。

・スティーヴン
 15年の服役を終えた男。獄中でレオと文通し、外の世界を生き直そうと言葉を探す。

・ホラス
 食堂で幅をきかせる乱暴な男。スティーヴンの前に立ちはだかる存在。

・ヴィック
 食堂の経営者。スティーヴンを雇い入れる。

母親の焦りから始まる、取り返しのつかない出来事

物語の一つ目はメアリーの人生。大学教授の夫と娘に囲まれながらも、社会から置いていかれる不安に押しつぶされそうになっている。疑念と衝動の中で関係を持ち、妊娠。その直後、夫と娘を事故で失うという決定的な出来事が起きる。生まれた息子に「レオポルド」と名づけながらも、彼を正面から愛することができなくなる。

手紙の中だけで存在する「本当の自分」

もう一つの物語は、刑務所から出てきたスティーヴン。外の世界は優しくなく、働き始めた食堂も居心地がいいとは言えない。そんな彼の支えになっているのが、獄中で文通していたレオからの手紙だった。レオは、自分を「母の罪の烙印」だと書く。その文章には年齢に似合わない重さと、言葉への誠実さがあった。

交わる二つの時間と、近づく出会い

母と子の断絶、罪悪感、孤独。それぞれ別の場所で積み重なってきた感情が、手紙を通して少しずつ形を持ち始める。スティーヴンはレオに会う日を待ち、レオもまた、顔も知らない相手に救いを見出していく。二つの物語は派手にぶつかるわけじゃなく、静かに距離を縮めていく。

最後に残るもの

物語は「救われた」「解決した」と言い切る形にはならない。それでも、誰かに言葉を受け止めてもらうことで、人生がほんの少しだけ違って見える瞬間が描かれる。血縁よりも、理解しようとする姿勢が人をつなぐ、そんな感触が残る終わり方。

この映画のポイント

・二つの人生を並行して描く構成
・手紙という媒体が持つ重み
・母性と罪悪感の描写
・文学的モチーフが静かに効いてくるところ

たぶんこんな映画

大きな事件が連続するタイプじゃなくて、感情の積み重ねをじっと見つめる映画。観ている間は静かだけど、あとからじわっと効いてくる。言葉に救われたことがある人ほど、引っかかる場面が多いかもしれない。派手さはないけど、心の奥にそっと残る一本。

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