※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
SHE SAID/シー・セッド その名を暴け
(She Said)
作品データ
2022年|アメリカ|伝記ドラマ
監督:マリア・シュラーダー
出演:キャリー・マリガン、ゾーイ・カザン、パトリシア・クラークソン、アンドレ・ブラウアー ほか
地味な取材の積み重ねが、世界の空気をひっくり返す話
ニューヨーク・タイムズの女性記者2人が、ハーヴェイ・ワインスタインの長年の性暴力を追う。
相手はハリウッドの超権力者で、被害者は口を開けない状況だらけ。
それでも取材を積み上げて、圧力と攻撃を受けながら記事公開にたどり着く。
物語の主要人物
・ミーガン・トゥーイー(キャリー・マリガン)
ニューヨーク・タイムズの記者。告発記事を担当する
・ジョディ・カンター(ゾーイ・カザン)
ニューヨーク・タイムズの記者。取材を進めていくもう一人の軸
・レベッカ・コルベット(パトリシア・クラークソン)
編集者。2人の上司として取材を支える
・ディーン・バケット(アンドレ・ブラウアー)
編集長。掲載へ向けて決断を下す立場
・ハーヴェイ・ワインスタイン(マイク・ヒューストン)
告発の対象となる映画プロデューサー
告発した側が傷つく現実から始まる
序盤、妊娠中の記者ミーガンは、トランプのセクハラ告発記事を出す。
けれど被害者側に反発や嫌がらせが集中し、ミーガン自身にも脅迫が届く。
この時点で、真実を言うだけで人生が削られる空気がはっきり見える。
ワインスタインの噂、でも誰も語らない
数か月後、記者ジョディがワインスタインについての告発情報を得る。
上司の指示で取材を始めるが、被害者たちは事情があって口を閉ざしている。
背景には、秘密保持契約での口封じ、示談の仕組み、証拠の取りづらさ、そして世間の偏見がある。
話したい人ほど守るものが多くて、言葉が出せない。
仕組みそのものが、加害を続けさせる
警察沙汰にしようにも証拠が少なく事件化しにくい。
裁判も難しく、弁護士は示談を勧めがち。
示談が成立すると、加害者側はお金で黙らせつつ、秘密保持で情報を外に出せなくする。
そのせいで同じ構図が何十年も回り続け、新しい被害が生まれる。
圧力の中で、証言がつながっていく
ミーガンとジョディは、被害者だけでなく、ワインスタインの周辺の人間にも取材を広げていく。
もちろん妨害もあるし、ワインスタイン側から強い反論や圧力も来る。
それでも粘り強く積み上げることで、少しずつ「名乗り出てもいい」と思う人が増えていく。
そして編集長から「書け」の号令が出て、記事公開へ進む。
公開後、世界が動き出す
記事が出たことで、次々に告発が連鎖する。
個人の声が孤立せず、社会の話題として燃え広がっていく。
映画は、その瞬間の派手さより、そこに至るまでの取材の重さと、人が言葉を取り戻す過程を丁寧に追って終わる。
この映画のポイント
・アクションじゃなく取材で戦うタイプの緊張感
・「話すこと」のリスクが具体的に描かれる
・秘密保持契約と示談が持つ力の大きさ
・記者2人の役割分担と積み上げ方が地に足ついてる
・悪者を殴って終わりじゃなく、構造の話まで届く
たぶんこんな映画
派手な盛り上がりで泣かせるというより、静かに息が詰まる。
でも同時に、誰かが言葉を取り戻していく感じがちゃんと残る。
観終わったあと、「報道ってこういう地味さで世界を動かすんだな」って、じわっとくるタイプ。

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