※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ミセス・パーカー/ジャズエイジの華
(Mrs. Parker and the Vicious Circle)
作品データ
1994年|アメリカ|ドラマ
監督:アラン・ルドルフ
出演:ジェニファー・ジェイソン・リー、キャンベル・スコット、マシュー・ブロデリック ほか
言葉が鋭すぎて、本人がいちばん傷ついてしまう話
1920年代ニューヨーク。作家ドロシー・パーカーは、才気と皮肉を武器に文学サロンの中心へ躍り出る。恋と創作は絡まり、成功と孤独は同時にやって来る。笑いの輪の真ん中にいながら、本人だけがどんどん追い詰められていく、きらびやかで苦い時間の記録。
物語の主要人物
・ドロシー・パーカー(ジェニファー・ジェイソン・リー)
作家・脚本家志望。鋭い言葉で名を上げる。
・ロバート・ベンチリー(キャンベル・スコット)
同じ円卓の仲間。ドロシーを支える存在。
・チャールズ・マッカーサー(マシュー・ブロデリック)
演劇記者。ドロシーの恋人になる。
・エディ・パーカー(アンドリュー・マッカーシー)
ドロシーの夫。復員後、関係が冷えていく。
・アラン・キャンベル(ピーター・ギャラガー)
サロンに出入りする人物の一人。
円卓に集まる言葉と、時代の熱
1920年代、アルゴンキン・ホテルのレストランには詩人や作家、コラムニストが集い、特別に用意された大きな丸テーブルを囲んで言葉を投げ合っていた。ここが後に「アルゴンキン・ラウンド・テーブル」と呼ばれ、ニューヨークの文化の象徴になる。ドロシーはその中心人物として注目を浴びていく。
恋と妊娠、そして行き場のない選択
脚本家志望のドロシーは、復員した夫エディとの関係がうまくいかない中で、演劇記者チャールズと恋に落ちる。妊娠するが、チャールズは他にも女性をつくり、ドロシーは孤立する。追い詰められた彼女は中絶を選び、絶望の中で自ら命を絶とうとする。
支えと成功、その裏で深まる孤独
救い出したのは同じ円卓の仲間ロバート・ベンチリー。彼は後にラジオや舞台、映画で成功を収めていく。ドロシーはホテルに住み、彼の支えを受けながら創作に打ち込むが、言葉を生み出す苦しさは消えない。次第に煙草と酒に頼る時間が増えていく。
笑いの中心で、ひとり置いていかれる
周囲の仲間たちはそれぞれの形で名声を得ていく一方、ドロシーの内側は満たされない。皮肉とウィットで人を笑わせながら、自分自身には逃げ場がない。サロンの賑わいと、個人の孤独が同時に描かれていく。
この映画のポイント
・1920年代ニューヨークの文化的熱気
・文学サロンという場のエネルギー
・創作と私生活が絡み合う構成
・成功と孤独が並走する描写
たぶんこんな映画
会話は軽快で、場面は華やか。でも気づくと、主人公の足元だけが不安定になっている。笑いが多いほど、後から切なさが残るタイプ。時代のきらめきと、言葉に生きる人のしんどさが、静かに同時進行していく一本。

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