※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
鳩の翼
(The Wings of the Dove)
作品データ
1997年|アメリカ・イギリス|恋愛/ドラマ
監督:イアン・ソフトリー
出演:ヘレナ・ボナム=カーター、アリソン・エリオット、ライナス・ローチ ほか
優しさを利用した恋が、取り返しのつかない方向へ進む話
20世紀初頭。裕福とは言えない環境で生きるケイトは、恋人マートンと結婚したい気持ちはあるものの、経済的な問題で先が見えない状況にいる。そんな中、莫大な財産を持ちながら重い病を抱えるアメリカ人女性ミリーと出会う。ケイトは、ミリーがマートンに恋をするよう静かに誘導し、その遺産で自分たちの未来を切り開こうと考える。表向きは親切で思いやりのある関係が続く一方で、三人の感情は少しずつ歪んでいく。
冷静に見えて必死な女と、優柔不断な男
ケイトは理性的で計算が早く、感情を抑え込むのが上手。
その裏には、貧しさから抜け出したい焦りが強くある。
マートンは誠実だけど決断力が弱く、流れに身を任せがち。
ミリーは無邪気で人を疑わず、好意をまっすぐ差し出すタイプとして描かれる。
ロンドンからヴェネツィアへ、距離が感情を変える
前半はロンドンの窮屈な空気の中で話が進む。
後半の舞台となるヴェネツィアは、水と光に包まれた非日常の場所。
場所が変わることで、三人の関係も現実感を失い、感情が露わになっていく。
親切と策略の境目が曖昧になる
ケイトの行動は、表面だけ見れば誰かを傷つけているようには見えない。
むしろミリーを支え、励ましているようにも映る。
でも、その裏にははっきりとした目的があり、そのズレが少しずつ空気を重くしていく。
気づいてしまった時、もう戻れない
ミリーは次第に、自分が置かれている状況を理解し始める。
それでも彼女は怒りを爆発させることなく、静かに受け止める選択をする。
その態度が、ケイトとマートンの心に強い後悔を残すことになる。
この映画のポイントなに?
三角関係そのものより、沈黙や視線で進んでいく心理戦が中心。
誰かが完全な悪者になるわけではなく、それぞれの事情が絡み合っている。
愛情と打算が、同じ場面に同時に存在してしまう怖さがじわじわ伝わってくる。
たぶんこんな映画
派手な展開は少なめで、気持ちの揺れを追い続ける時間が長い。
観ているうちに、登場人物の選択を簡単に責められなくなる。
静かだけど重さの残る余韻が、あとから効いてくるタイプの作品。

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