※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
摩天楼を夢みて
(Glengarry Glen Ross)
作品データ
1992年|アメリカ|ドラマ
監督:ジェームズ・フォーリー
出演:アル・パチーノ、ジャック・レモン、アレック・ボールドウィン、エド・ハリス、アラン・アーキン、ケヴィン・スペイシー ほか
クビ宣告ひとつで、人の顔が全部変わる話
不動産会社で働くセールスマンたちは、成績がすべての世界に身を置いている。ある日突然突きつけられたのは、「今月トップと2位以外はクビ」という冷酷なルール。追い詰められた彼らは、誇り、過去の栄光、焦り、嫉妬をむき出しにしながら、じりじりと自滅していく。派手な事件は起きないのに、人間関係だけが音を立てて崩れていく。
物語の主要人物
・リッキー・ローマ(アル・パチーノ)
成績トップのセールスマン。言葉と勢いで契約をまとめる。
・シェリー・レーヴィン(ジャック・レモン)
かつての敏腕営業。今は成績不振に苦しんでいる。
・デイヴ・モス(エド・ハリス)
成績低迷中のセールスマン。現状に強い不満を抱えている。
・ジョージ・アーロナウ(アラン・アーキン)
モスの同僚。流れに置いていかれている立場。
・ジョン・ウィリアムソン(ケヴィン・スペイシー)
支店長。顧客情報を握る管理側の人間。
成績がすべての職場に落とされた爆弾
ニューヨークの不動産会社ミッチ&マレー社は、完全な実績主義。良い成績を出せば優良顧客の情報が回り、結果を出せなければ価値のない名簿だけが残る。ある日、本社から来た幹部ブレイクは、成績不振のセールスマンたちに「今月トップと2位以外はクビ」と告げる。その瞬間、オフィスの空気が一変する。
追い詰められる男たちと、それぞれの焦り
娘の入院費を抱えるレーヴィンは、何としても結果を出さなければならない状況に追い込まれる。彼は支店長ウィリアムソンに、見返りを渡すから優良顧客情報を回してほしいと頼むが、あっさり拒否される。一方でローマは順調に契約をまとめ、モスとアーロナウは結果を出せず焦りを募らせていく。
盗難事件と、見え始める落とし穴
翌朝、オフィスで盗難事件が発生し、セールスマンたちは警察に取り調べを受ける。不穏な空気が漂う中、レーヴィンは運良く契約が取れたと得意げに語るが、その裏には致命的な落とし穴が待っていた。事態が進むにつれ、誰が何を失い、誰が取り返しのつかない場所へ踏み込んだのかが浮き彫りになっていく。
この映画のポイント
・舞台はほぼ不動産オフィスのみ
・行動より会話が物語を動かす
・成績と人間性が強制的に天秤にかけられる
・成功者と敗者の距離が極端に近い世界
たぶんこんな映画
ずっと誰かが喋っていて、空気は重たいまま進んでいく。仕事の話をしているだけなのに、だんだん人生そのものを削っているように見えてくる。華やかな成功談より、うまくいかなかった側の時間が濃くて、観終わると「働くって何だっけ」と静かに考えさせられる一本。

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