※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
トラック29
(Track 29)
作品データ
1988年|アメリカ|心理ドラマ
監督:ニコラス・ローグ
出演:テレサ・ラッセル、ゲイリー・オールドマン、クリストファー・ロイド、コリーン・キャンプ ほか
孤独な主婦の前に「息子」を名乗る男が現れる話
満たされない結婚生活を送る女性の前に、突然現れた若い男。彼は自分を「あなたの息子だ」と名乗る。そこから始まるのは再会でも救いでもなく、現実と妄想、過去の記憶と現在がぐちゃぐちゃに絡まった、危うい心の旅だった。
物語の主要人物
- リンダ・ヘンリー(テレサ・ラッセル)
田舎町で虚無的な日々を送る主婦 - マーティン(ゲイリー・オールドマン)
リンダの前に現れ、息子だと名乗る青年 - ヘンリー・ヘンリー(クリストファー・ロイド)
リンダの夫で医師 - アーランダ(コリーン・キャンプ)
リンダの友人
何も満たされない日常
ノースカロライナの町で暮らすリンダは、医師の夫ヘンリーと暮らしているが、心はすっかり冷え切っている。夫は鉄道模型に没頭し、看護師との不倫もしている。リンダは友人とカフェに行くくらいしか、外の世界とつながる手段がない。
息子だと名乗る青年の出現
そんなリンダの前に現れたのが、イギリス育ちのヒッチハイカー、マーティン。彼は突然、自分はリンダが若い頃に産んで養子に出した息子だと言い出す。しかも、誰にも話していないはずの過去や家政婦のことまで知っている。リンダは戸惑いながらも、次第に母親のように彼を受け入れていく。
現実と妄想が溶け合っていく
リンダとマーティンは一緒に食事をし、会話を重ねるが、周囲から見るとリンダは一人で泣き、独り言を言っているように見える。マーティンの存在が本当に実在するのか、それともリンダの心が生み出したものなのか、境界はどんどん曖昧になっていく。彼の言動も、次第に子供じみたものへと変わっていく。
壊れる家と、壊れた心
リンダは幻覚を見るようになり、家に巨大なトレーラーが突っ込む場面や、マーティンが夫の大切な鉄道模型を壊す場面が重なる。やがて暴力的なイメージが頭の中で完成し、家の中では取り返しのつかない出来事が起きたようにも見える。
この映画のポイント
・現実と幻想を区別させない構成
・説明をほとんど与えない演出
・母性と罪悪感が絡み合う心理描写
・若きゲイリー・オールドマンの異様な存在感
たぶんこんな映画
分かったつもりになると、すぐ足元をすくわれる。怖いというより、不安がずっと続く感じ。答えを教えてくれないまま終わるので、観終わったあとに「あれは何だったんだろう」と考え続けるタイプの一本。

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