※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

声をかくす人
(The Conspirator)
作品データ
2010年|アメリカ合衆国|歴史ドラマ・ミステリー
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ロビン・ライト, ジェームズ・マカヴォイ, エヴァン・レイチェル・ウッド, ケヴィン・クライン, トム・ウィルキンソン ほか
大統領暗殺の後で、たった一人の女性を守ろうとした話
リンカーン暗殺の混乱の中、共謀者として裁かれた唯一の女性メアリー・サラット。その弁護を任された若い弁護士エイケンは、国家の怒りと軍事裁判の圧力の中で、「正しく裁かれる権利」を守ろうとする。派手な陰謀劇というより、裁判そのものが戦場になる話。
ざっくり時系列
南北戦争が終結する
↓
リンカーン大統領が暗殺される
↓
政府が共謀者の一斉逮捕を命じる
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メアリー・サラットが拘束される
↓
若き弁護士エイケンが弁護を引き受ける
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軍事法廷で裁判が始まる
↓
不利な証言と証拠が積み重なる
↓
エイケンが裁判の不公正さに疑問を持つ
↓
民間裁判への移行を求める
↓
令状が却下され、死刑が執行される
↓
後年、裁判の正当性が否定される
物語の主要人物
・メアリー・サラット(ロビン・ライト)
リンカーン暗殺の共謀者として起訴された女性
・フレデリック・エイケン(ジェームズ・マカヴォイ)
北軍の退役軍人で若い弁護士
・アンナ・サラット(エヴァン・レイチェル・ウッド)
メアリーの娘
・エドウィン・スタントン(ケヴィン・クライン)
陸軍長官で裁判を主導する立場
・レヴァーディ・ジョンソン(トム・ウィルキンソン)
エイケンの上司で弁護団の責任者
暗殺の衝撃が、国を覆い尽くす
リンカーン暗殺直後、国全体が怒りと恐怖に包まれる。政府は迅速な報復を選び、容疑者たちは軍事法廷にかけられる。メアリー・サラットもその一人として拘束され、状況を理解する暇もなく裁かれていく。
弁護するほど、疑問が増えていく
エイケンは当初、彼女の有罪を疑っていた。しかし証言や裁判の進め方を見ていくうちに、この裁判が「公平に裁く場」ではなく「結論ありきの場」になっていることに気づく。証拠の扱い、証人の信頼性、軍事法廷という形式。その全部が、彼を迷わせていく。
正しさよりも、早さが選ばれた結末
エイケンは民間法廷での裁きを求め、人身保護令状を勝ち取ろうとする。しかし政府はそれを退け、死刑は執行される。後年、最高裁はこの裁判の在り方を否定するが、取り返しはつかない。残るのは、正義が追いつかなかったという事実だけだ。
この映画のポイント
・裁判そのものを主軸にした構成
・感情より手続きの歪みを丁寧に描いている
・英雄的な解決を用意しない終わり方
・国家と個人の距離がはっきり見える
たぶんこんな映画
静かで重たい。大きな盛り上がりは少ないけど、観ている間ずっと息が詰まる感じが続く。終わったあとに「もし自分だったら」と考えさせられるタイプの映画。派手さより、あとから効いてくる一本。

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