最後の決闘裁判

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最後の決闘裁判
(The Last Duel)

作品データ
2021年|イギリス/アメリカ|歴史・ドラマ
監督:リドリー・スコット
出演:マット・デイモン, アダム・ドライバー, ジョディ・カマー, ベン・アフレック ほか

同じ事件を3回見せて「お前らどこ見てたんだよ」って突きつけてくる話

1386年のフランス。騎士ジャンの妻マルグリットが、夫の旧友ジャックに襲われたと訴える。ところが権力側はジャック寄りで、普通の裁判じゃ勝てない空気。そこでジャンは国王に直訴して、決闘裁判という最終手段に持ち込む。
この映画のえげつないところは、同じ出来事を「ジャンの見方」「ジャックの見方」「マルグリットの見方」で描いて、誰が何を都合よく見て、何を無視したかをガンガン炙り出してくるところ。

物語の主要人物

・ジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)
 ノルマンディーの騎士。名誉と立場に強くこだわり、決闘裁判に踏み切る。

・ジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)
 従騎士でジャンの旧友。領主に重用され、事件後も無罪を主張する。

・マルグリット・ド・カルージュ(ジョディ・カマー)
 ジャンの妻。事件を訴え、法廷で厳しい尋問に耐えながら真実を主張する。

・ピエール伯(ベン・アフレック)
 領主。ジャックを気に入り肩入れし、裁判の空気を決定的にする。

まずは「名誉」の世界で、友情がじわじわ腐っていく

ジャンとジャックは元々、同じ領主のもとで戦ってきた仲。だけど戦争や土地、役職の扱いをめぐって、ジャンはどんどん面子を潰されていく。
ジャン側から見ると、ジャックは出世して領主に取り入って、自分の取り分を奪っていく裏切り者っぽく見える。ここでジャンの怒りは「事件」だけじゃなくて、それまで積もった屈辱も全部乗っかってる。

ジャック側は「好意が通じてる」って勘違いで突っ走る

ジャックの視点になると、彼は知識も社交も武器にして領主の信頼を得た“有能な側近”として描かれる。マルグリットとの会話をきっかけに、彼は勝手に「惹かれ合ってる」みたいな物語を頭の中で作り始める。
その結果、拒絶すら「立場上そう言ってるだけ」みたいに解釈して、最悪の方向へ突っ込む。ここ、観てる側は胃がきゅーってなる。

マルグリットの視点で、全部の温度が変わる

マルグリット側の章に入ると、同じ場面でも空気がガラッと変わる。
彼女は屋敷を守り、土地の運営も担い、孤立しやすい立場にいる。そこで襲撃が起き、彼女は必死に抵抗する。
さらに地獄なのがその後で、訴えた瞬間から「本当に?」「誘惑したんじゃ?」みたいな疑いが向けられて、法廷でも容赦なく削られる。決闘裁判で夫が負けたら自分が火あぶり、って条件を突きつけられても、引かずに真実を言い続ける。

決闘裁判は、真実の判定じゃなくて運命の賭け

ジャンは国王に直訴して決闘裁判へ。勝てば訴えは認められ、負ければマルグリットは偽証として処刑される。
で、決闘そのものはめちゃくちゃ生々しくて、見世物の興奮と、本人たちの命の重さが同時に来る。勝った側が正しい、っていうルールの怖さが、最後までずっと張り付く。

この映画のポイント

・同じ事件を3つの視点で見せて、ズレの正体を見せる構造
・中世の「名誉」や「権力」が、個人の人生を雑に踏む感じがリアル
・法廷が真実の場じゃなく、社会の都合の場になってるしんどさ
・マルグリットが背負わされるリスクが理不尽すぎて言葉を失う
・決闘の迫力が、単なるアクションじゃなく“制度の暴力”として刺さる

たぶんこんな映画

観る前は「中世の決闘だし、歴史モノでしょ」って構えるんだけど、実際はめちゃくちゃ現代にも刺さる話。
スカッとするより、胸の奥が重くなる瞬間が多い。でもその重さを、視点の切り替えでちゃんと形にしてくるタイプの映画。

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