※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

レット・ゼム・オール・トーク
(Let Them All Talk)
作品データ
2020年|アメリカ|コメディドラマ
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:メリル・ストリープ,ダイアン・ウィースト,キャンディス・バーゲン,ルーカス・ヘッジズ,ジェマ・チャン ほか
昔の友達と船に乗ったら、言葉と記憶が止まらなくなる話
大西洋横断クルーズという閉じた空間で、作家とその周囲の人たちがひたすら話し、ぶつかり、すれ違っていく。過去のわだかまり、創作への欲、仕事と感情の境界線が、会話の積み重ねで少しずつ露わになっていく。大事件が起きるわけじゃないのに、人の言葉だけで関係が動いていくのがこの映画の軸になっている。
ざっくり時系列
作家が飛行機に乗れず、船で渡航することになる
↓
甥と疎遠だった友人2人を船に招く
↓
船上で執筆と会話が続く
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過去の確執や本音が浮かび上がる
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出版社と新作を巡る思惑が絡む
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友人同士の衝突が起こる
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作家が原稿を破棄する決断をする
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航海後に関係が整理される
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突然の別れが訪れ、それぞれが前に進む
物語の主要人物
・アリス・ヒューズ(メリル・ストリープ)
著名な作家で、航海中に執筆を続ける
・ロバータ(キャンディス・バーゲン)
アリスの大学時代の友人で、長年の確執を抱える
・スーザン(ダイアン・ウィースト)
アリスとロバータの友人で、船上で新たな刺激を受ける
・タイラー・ヒューズ(ルーカス・ヘッジズ)
アリスの甥で、旅の付き添い役
・カレン(ジェマ・チャン)
アリスの文芸エージェント
船に乗る理由は、賞と事情と人間関係
作家のアリスは文学賞のために英国へ向かう予定だったが、健康上の理由で飛行機に乗れない。そこで選ばれたのが豪華客船での横断だった。彼女は手伝いとして甥のタイラーを連れ、さらに長く連絡を取っていなかった友人ロバータとスーザンを招く。最初から、空気は少しだけぎこちない。
会話が積み重なって、過去が顔を出す
船上では、食事や散歩の合間に会話が続く。ロバータは過去の小説が自分の人生を歪めたと感じており、その思いをアリスにぶつけきれずにいる。エージェントのカレンは新作の情報を探ろうと動き、タイラーはその間に巻き込まれていく。静かなやり取りの中で、それぞれの立場と欲が見えてくる。
書くこと、話すこと、そして突然の終わり
緊張が高まったある夜、アリスは続編を書く予定だった原稿を消す決断をする。航海が終わり、関係は整理されたかに見えたが、思いがけない別れが訪れる。その後、残された人たちはそれぞれの場所で、新しい書くことや生き方に向き合っていく。
この映画のポイント
・船上という限定された空間で進む物語
・会話そのものがドラマになる構成
・創作と私生活の距離感がテーマになっている
・即興的なセリフが生む自然な間
たぶんこんな映画
大きな山場があるわけじゃないのに、気づくと人間関係の奥まで連れていかれる感じの一本。誰かが話すと、誰かの過去が動く。その連鎖を静かに眺めているうちに、言葉ってやっぱり強いなと思わされる映画。

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