※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
エビータ
(原題:Evita)
作品データ
1996年|アメリカ|ミュージカル/ドラマ
監督:アラン・パーカー
出演:マドンナ、アントニオ・バンデラス、ジョナサン・プライス ほか
一人の女性が、国の象徴にまで上り詰めていく話
貧しい少女が夢を抱いて都会に出ていく。
それだけなら、よくある成功物語みたいだけど、この映画はそこから一気にスケールが広がる。
恋愛も政治も大衆の視線も、全部を巻き込んで進んでいく。
無名の少女が、国民的存在になるまでの
エビータことエバ・ペロンは、田舎からブエノスアイレスへ出て、女優を目指す。
やがて政治家フアン・ペロンと出会い、彼のパートナーとして表舞台に立つようになる。
貧しい人々に寄り添う姿勢で支持を集め、国民的な人気を得ていく。
その一方で、権力の中心に近づくほど、賛否も強まっていく。
野心を隠さない女性と、距離を保つ語り手
エビータは、自分の望みをはっきり持っていて、迷いが少ない。
成り上がるための選択にも、ためらいが見えにくい。
対照的に、物語を導く語り手チェは、彼女を一歩引いた場所から見つめ続ける。
称賛とも批判とも取れる視線が、物語に別の角度を与えている。
20世紀半ばのアルゼンチン、政治と大衆の熱
舞台はアルゼンチン。
政治集会やバルコニーでの演説、大群衆の熱気が何度も描かれる。
個人の人生が、そのまま国家の物語に重なっていく。
華やかさの裏で、緊張や対立も常に存在している。
支持と反発が同時に膨らんでいく
エビータの影響力が強まるほど、支持する人も、反発する人も増えていく。
慈善活動や演説は、多くの人に希望を与える。
同時に、そのやり方や立場に疑問を投げかける声も消えない。
光と影が同じ速度で大きくなっていく感覚が続く。
短い時間で燃え尽きるような人生
物語の後半では、エビータの体調が悪化していく。
それでも彼女は、人前に立ち続けようとする。
限られた時間の中で、何を残すのかがはっきりしてくる。
終わりは静かだけど、その存在感は強く残る。
この映画のポイントなに?
セリフより歌で物語が進むミュージカル構成。
華やかな音楽と、政治的なテーマが同時に展開される。
エビータを一面的に描かず、見る側に判断を委ねる作り。
アントニオ・バンデラスの語り手的な役割も、全体のバランスを取っている。
たぶんこんな映画
伝記として観てもいいし、ひとつの神話として受け取ってもいい。
感情と権力が、音楽に乗って一気に押し寄せてくる。
観終わったあと、あの歌と群衆の光景が頭から離れにくい、そんな一本。

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