愛の神、エロス|ざっくり時系列

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愛の神、エロス
(Eros)

作品データ
2004年|アメリカ・中国・イタリア|オムニバス・ドラマ
監督:ウォン・カーウァイ, スティーヴン・ソダーバーグ, ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:コン・リー, チャン・チェン, ロバート・ダウニー・Jr., アラン・アーキン, ルイサ・ラニエリ ほか

3人の巨匠が「欲望の距離」をそれぞれのやり方で測る話

同じテーマは「愛と性」。でも語り口は三者三様。触れたいけど届かない想い、夢と現実のズレ、退屈の隙間に入り込む衝動。短編ごとにトーンが変わり、見終わる頃には「エロスって一言で言えないな」と思わされる。

ざっくり時系列

1960年代の香港で、仕立て屋の助手が高級女性と出会う

彼女を想い続けながら、立場の差が広がっていく

1950年代のアメリカで、広告マンが奇妙な夢を語る

診察室の会話が、夢と現実を入れ替える

イタリアの海辺で、退屈なカップルが若い女性と遭遇

散歩と出会いが、関係を少しだけ動かす

物語の主要人物

・華(コン・リー)
 香港の高級女性。静かな存在感で周囲を引き寄せる。

・チャン(チャン・チェン)
 仕立て屋の助手。不器用な想いを胸に抱く。

・ニック・ペンローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)
 広告会社の重役。繰り返す夢に向き合う。

・パール医師(アラン・アーキン)
 ニックの主治医。会話のズレが物語を転がす。

・クリストファー(クリストファー・ブッフホルツ)
 休暇中の男。刺激の少ない日常に揺れる。

・クロエ(レジーナ・ネムニ)
 クリストファーの恋人。距離感を保つ存在。

・リンダ(ルイサ・ラニエリ)
 海辺で出会う若い女性。場の空気を変える。

手 触れることでしか残せない記憶

ウォン・カーウァイの短編は、触覚の記憶が主役。仕立て屋の助手チャンは、採寸のために訪れた部屋で、華という女性に強烈な印象を刻まれる。言葉は少なく、距離は遠い。けれど彼は、服を作るたびに彼女を思い出す。時間が進み、立場が変わっても、彼の想いは形を変えずに続いていく。

平衡 夢の説明が現実を追い越す

ソダーバーグの短編は、軽やかな会話劇。仕事の重圧に押されるニックは、精神科医に夢の話をする。分析しようとするほど、話は別の方向へ転がり、診察室そのものが揺らぎ始める。目覚めた先にある答えは、意外とシンプルで、少しだけ皮肉。

危険な糸 退屈の隙間に落ちる視線

アントニオーニの短編は、風景と間が支配する。湖畔のリゾートで過ごすカップルは、刺激のない時間に飽きている。そこで出会う若い女性が、何かを壊すわけでも、解決するわけでもない。ただ、視線と沈黙が増えていき、関係の輪郭がぼやけていく。

この映画のポイント

・同一テーマを3人の作家性で見比べられる
・台詞よりも、仕草や間が語る場面が多い
・短編ごとにリズムと温度がはっきり違う
・触れたい距離、語れない感情の描写が中心
・一本として見ると、感情のグラデーションになる

たぶんこんな映画

派手さは控えめで、余韻重視。一本の物語というより、三つの感触を順番に味わう感じ。分かりやすい答えは出ないけど、「こういう欲望もあるよね」と静かに置いていく。気分や時間帯で、刺さる短編が変わるタイプ。

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