※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

ヒューマン・ハンター
(The Humanity Bureau)
作品データ
2018年|カナダ|SFスリラー
監督:ロブ・W・キング
出演:ニコラス・ケイジ、サラ・リンド、ヒュー・ディロン ほか
国のための仕事をしてた男が、制度の外に放り出される話
未来の社会で、ルールを守る側だった人間が、ある日いきなり疑問を持ち始める。
仕事としてやってきたことが、急に怖く見えてくる瞬間があって、そこから全部がズレていく。
ニコラス・ケイジが、無表情のまま「これは本当に正しいのか」を抱え始める話。
管理社会の中で、追放を決める側から疑う側に変わる
舞台は、環境崩壊が進んだ近未来。
国は人口と資源を管理するため、一定の基準に満たない人々を「更生地」へ送っている。
主人公は、その選別を担当する政府職員。
淡々と仕事をこなしていたけど、ある母子の案件をきっかけに、制度の裏側に気づき始める。
調査を進めるうちに、更生地の実態が想像と違うことが見えてきて、立場が一気に危うくなる。
ルールを信じて疑わなかった政府職員
ニコラス・ケイジが演じる主人公は、感情を仕事に持ち込まないタイプ。
国が決めた基準は正しくて、それに従うのが当然だと思っている。
だからこそ、自分の判断が誰かの人生を終わらせている事実に、後から効いてくる。
疑い始めた瞬間から、今までの自分を否定することになる。
追放対象として生きる母親と子ども
サラ・リンドが演じる母親は、制度の下で切り捨てられる側の人間。
必死に生きているだけなのに、数字や条件で排除されてしまう。
子どもを守ろうとする姿が、主人公の考えを揺さぶる。
彼らは反抗しているわけじゃなく、ただ生き残ろうとしている。
更生地と呼ばれる場所の不穏な実態
調査を進める中で、更生地が理想郷ではないことが見えてくる。
公式には語られない情報や、戻ってこない人たち。
制度の説明と現実の間に、かなり大きなズレがある。
主人公は、自分が信じてきた仕組みの正体を直視することになる。
疑問を持った瞬間から、追われる側になる
制度に逆らうつもりはなくても、知りすぎた時点でアウト。
主人公は監視され、行動を制限され始める。
立場は一気に逆転して、今度は自分が「管理される側」になる。
逃げながら考えるしかない状況に追い込まれていく。
選ぶのは、安全か、人かという終盤
終盤では、主人公に明確な選択が突きつけられる。
元の立場に戻る道もあるけど、それは見なかったことにする選択。
誰かを助けることは、自分の人生を失うこととほぼ同義。
簡単なヒーロー展開じゃなく、重たい決断が続く。
最後は、制度の外に立った感覚だけが残る
すべてが解決するわけじゃなく、社会は簡単には変わらない。
それでも、主人公の立ち位置だけははっきり変わる。
守る側だった人間が、外側に立つことで見える景色がある。
静かなまま、余韻を残して話は区切られる。
この映画のポイントは、管理と人間の距離
SF設定だけど、やっていることはかなり現実的。
効率や合理性の名の下で、何が切り捨てられるのかが見えてくる。
制度を信じる怖さが、じわっと前に出てくる。
たぶん、観終わったあと「正しい仕事」って何だろうと考える映画
命令に従うことと、正しいことをすることが一致しない瞬間。
遠い未来の話なのに、今の社会とも重なって見える。
派手じゃないけど、あとから効いてくるSFスリラーかも。

コメント