※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
天才スピヴェット
(L’extravagant voyage du jeune et prodigieux T.S. Spivet)
作品データ
2013年|フランス・カナダ|ドラマ/冒険
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム=カーター、ジュディ・デイヴィス ほか
天才少年が、ひとりでアメリカを横断してしまう話
モンタナ州の牧場で暮らす10歳の少年T.S.スピヴェットは、科学と発明が大好きな天才児。ある日、彼が考案した装置がスミソニアン博物館に評価され、表彰の招待が届く。ただし相手は、受賞者がまさか子どもだとは思っていない。家族にも言い出せないまま、スピヴェットは一人で貨物列車に乗り込み、ワシントンD.C.を目指す旅に出てしまう。その道中で、彼は自分の家族や過去、そして抱えてきた感情と向き合っていく。
頭は切れすぎてるけど、心は追いついてない少年
スピヴェットは、世界を図やメモで理解しようとするタイプ。
感情も出来事も、全部分析対象にしてしまう癖がある。
一方で、家族との距離感や、双子の兄に起きた出来事については、
どう扱えばいいのか分からないまま抱え続けている。
牧場と列車、広すぎるアメリカ
物語は、何もないモンタナの牧場から始まり、
列車に揺られながら、少しずつ景色が変わっていく。
広大な自然と人工物が交互に現れて、
スピヴェットの小ささと世界の大きさが同時に強調される。
賢さが、かえって孤独を深める
周囲の大人たちは、スピヴェットの才能に驚きつつも、
彼が子どもであることをほとんど考慮しない。
理解されているようで、実は誰にもちゃんと見られていない感覚が、
旅が進むほど強くなっていく。
表彰式の先で、やっと言葉にできること
ワシントンにたどり着き、華やかな舞台に立たされたスピヴェットは、
そこで初めて、自分が抱えてきた思いを言葉にし始める。
天才として扱われることと、子どもとして守られることのズレが、
はっきりと浮かび上がる場面になる。
この映画のポイントなに?
映像全体がスピヴェットの頭の中みたいに作り込まれている。
図解、メモ、ナレーションが画面に重なり、情報量は多いのに不思議と見やすい。
かわいらしさと切なさが、同時に進んでいく構成になっている。
たぶんこんな映画
天才ものだけど、成功の話というより、成長の途中の話。
頭が先に走って、気持ちが置いていかれる感覚が描かれている。
観終わったあと、賢さって誰のためのものなんだろう、って少し考えが残る作品。

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